相続・贈与編

Q 負担付贈与は今でもできるのですか?
負担付贈与(負債を付けて財産を贈与)という行為そのものは今でも可能です。その場合には、贈与された財産から引き継いだ負債の額を控除した価額に贈与税がかかります。しかし、その際の贈与財産の評価額は時価をもとに計算しますので、不動産を使った以前のような節税効果(贈与する財産は相続税評価額で計算し、負債はそのままの金額で控除)は現在は期待できません。


Q 離婚の際の財産分与にはどんな税金がかかるのですか?
A 離婚を原因として相手から財産をいただく場合には、それが社会通念上相当額であり、相続税や贈与税を回避する計画的は行為でないかぎり、贈与税がかかることはありません。しかし、分与する財産が土地建物等の場合には、分与する側に譲渡所得が発生して所得税・住民税がかかりますのでご注意下さい。


Q 親子間の金銭の貸し借りについて注意点を教えて下さい。
 親族間での金銭の貸し借りは税務署も非常に注目します。
つまり、貸し借りは形式上であって実態は贈与ではないかと疑うからです。
この場合に注意点は次の3点です。

(1) 返済方法、返済条件等の契約が明確にされているか
(2) 契約に沿った返済実績があるか
(3) 借り主にそれだけの返済能力があるか

特に(3)がポイントになりますのでご注意下さい。


Q 遺産分割が確定しないときの相続税の申告はどうすればよいですか?
相続税の申告期限は亡くなった日の翌日から10ヶ月となっています。それまでに遺産の分割ができない場合でも申告・納税はしなければなりません。通常は、民法に定める法定相続割合に従って相続したものとみなして相続税を計算して申告します。そして、その後遺産の分割が整った時に、修正申告または更正の請求をして税金の精算をいたします。  なお、相続税の特例である「小規模宅地の評価減の特例」や「配偶者の税額軽減の特例」などは、遺産の分割が成立していることが条件となっているため、当初の申告時は使えませんので注意が必要です。


Q 借金があって相続したくないないときはどうしたらいいのですか?
「放棄」と「限定承認」の2通りの方法があります。「放棄」の場合にはプラスの財産であれマイナスの財産であれ、相続財産は一切承継しないことになります。一方の「限定承認」の場合は、財産の範囲内で債務も承継するという方法です。財産と債務とどちらが多いかわからないような時によく使われます。  「放棄」も「限定承認」も相続開始を知ったときから3ヶ月以内に家庭裁判所に申し出ることが必要です。また、「放棄」は相続人各人の単独でできますが、「限定承認」は相続人全員一緒でないとできませんのでご注意ください。


Q 遺言書にはどんな方式があるのですか?
遺言は、15歳以上であれば原則として誰でもできますが、法律で決めれた方式で作りませんと無効となってしまいます。遺言の方式には普通方式と特別方式がありますが、通常は普通方式のなかの「自筆証書遺言」か「公正証書遺言」が一般的です。 (1) 自筆証書遺言:遺言者が遺言の全文、作成日、氏名を自筆で書いて押印するものです。ワープロ打ちや、家族の代筆は無効です。 (2) 公正証書遺言:証人2人以上の立会いのもとで、公証人が作成した遺言書を遺言者・証人に読み聞かせ、全員が署名押印をして作成するものです。自筆証書遺言は、要件不備で無効となったり、紛失等の恐れもありますので、できれば公正証書遺言で作成されることをお薦めいたします。


Q 以前書いた遺言書を直したいときはどうしたらいいのですか?
遺言は何度でも書き換えができます。その方式も法律で認められたものであればどれでも良く、以前の方式と同じである必要はありません。また、遺言が複数あった場合には、作成日の新しいものが優先され、古い遺言の抵触する部分は撤回したものとみなされます。  さらに、遺言をしたからといってその財産を処分できなくなるわけでもありません。遺言者が自分の財産をどう処分しようと自由です。このような生前処分も遺言を撤回したものとみなされます。


Q 養子にできる人数が制限された聞いたのですが?
養子の人数の制限は相続税の計算上の措置だけの問題で、養子縁組そのものは今でも何人でもできます。以前、ただ相続税逃れのためにむやみに養子を増やすことが多発したため、課税上の措置として相続税額計算上の法定相続人の数に含める養子の数を制限したというものです。具体的には (1)被相続人に実子がある場合には1人、(2)実子がいない場合には2人 とすることになっています。  繰り返しになりますが、養子縁組すること自体を制限するものではありませんし、一部の養子の法律上の地位を実子や他の養子と差別するものでもありませんのでご注意ください。


Q 夫婦間で自宅を贈与した場合、税金がかからない特例があると聞いたのですが?
婚姻期間が20年以上の夫婦間で、居住用の不動産を贈与する場合には、110万円の基礎控除の他に、最高2000万円まで税金がかからない特例があります。その特例を受けるための要件は次の通りです。

(1) 贈与する配偶者との婚姻期間が20年を超えていること。
(2) 贈与するものが自己の居住用不動産、又は居住用不動産を取得するための金銭であること。
(3) 贈与された年の翌年3月15日までに、贈与された不動産又は贈与された金銭で取得した居住用不動産に住み、引き続き住む見込みであること。

以上の要件を満たした場合には最高2110万円相当まで無税で贈与が可能です。しかし、贈与税の確定申告は必要ですのでご注意ください。


Q 配偶者の相続税が免除される税額軽減特例は、期限後の申告でも適用できますか?
配偶者に対する相続税額の軽減の特例を受けるためには、相続税の申告書にその適用を受ける旨及びその計算に関する明細を記載して申告書を提出する必要がありますが、この申告書には期限後の申告書も含むことになっています。ただし、税務調査によって更正された場合の期限後申告は除かれていますのでご注意ください。あくまでも「自主的な期限後申告」は認められるということです。


Q 死亡退職金は誰が相続できるのですか? 相続人で分割して問題無いですか?
死亡退職金を取得できる人は、支払をする会社の退職金規定の内容によって異なってきます。
(1) 退職金規定で受給者が決まっている場合には、その人が取得します。
(2) 退職金規定で受給者が決まっていない場合には、実際に受け取った人となります。つまり、相続人間で協議分割した場合にはその協議の結果受け取る人となりますし、遺言に受取人が指定されていればその人が受け取ることになります。 したがって、支払をする会社側にまず受給者の定めがあるかどうかを確認することが必要です。


Q 孫に住宅の建築資金を贈与したいのですが、「相続時精算課税制度」の特例は使えますか?
「相続時精算課税制度」の特例は、親から子への贈与に認められるものです。従って、祖父母から孫への直接の贈与では適用できません。どうしてもこの方法を使いたい場合には、次のような2段階の贈与を実施することが必要です。
@祖父母から父母へ相続時精算課税制度を使って贈与
A父母から子(祖父母からみたら孫)へ相続時精算課税制度を使って贈与